RNRC全テキストレビュー 一日目

シオサイクロン・・・・15点

表現があまりにも直接的すぎて少々退いてしまいましたが、勢いはあるしインパクトも強いのでRNRC始めのテキストとしては及第点はもらえるテキストだと思います。しかしやや展開が速いというか、読みながらその状況を考える暇がないほど実況がどんどん先へ先へ進んでしまうので、読み手を置いておきぼりにしている印象も残りましたので、そこのところをもう少しうまく読み手を波に乗せられるようなものにできればなおよかったと思います。


アラート・・・・13点

「天」のネタは知っているだけにクスリとくるものがあったのですが、知らない人が大半でしょうからこれはあまりいい比喩とは言えません。さらに少しきつい言い方をすれば、結局「歯医者に行きたくないけどある歯科医院の医者が巨乳の女性と知り、行きたくなりました」という内容でしかなく、自分語りで面白くできてるならまだしも、これはどこがどう面白いのかという部分でかなり疑問になるテキストでした。その歯科医院に行った後の展開を面白く書ければもっとよくなっていたと思います。これじゃただの前書き。


勝手に言わせてくれ・・・・14点

始まり方は、いい。面白くなりそうなテキストだなという印象を読み手に与えられる。しかし残念ながら書き手の創造力不足というか、ボタンを押すとどうなるかという部分のネタが個人的にそれほど面白いとは感じなかった。それと急に一休さんの歌に異次元ワープするのは読み手は混乱しかねないのでやめたほうがいい。全体を通してみればそれなりにまとまってはいるのですが、もう少しひねりを加えると、テキストとしてのインパクトがより高まったと思います。


しびれくらげ・・・・16点

<両親>と<彼女>と<俺>が面白かった。短文ネタはいくら滑っても一つでも面白いのがあれば読後感はそれほど悪くなくなるから評価が必然的によくなる。最後の冷静な突っ込みは書き手の特徴で、ツボにはまればどれもそれなりに笑えるネタであると言えるのではないでしょうか。ただ個人的には、抑揚がこのようにあまりにもないネタだと、段々気持ちも冷めていってしまうタチなのでそういう部分で冷静な突っ込みはネタが続けば続くほど損をしているなという印象が残りました。


エリゴノミ・・・・15点

短文が続けてあるのはなぜでしょうか。短文は長文と長文の間のクッションとして入れたほうがいいのではという疑問が残りましたが、まぁそこは深く追求せずにテキストのレビューをすると、「〜あるよね?」というネタのどれ一つとして共感できなかったのが非常に残念。あえてそういう「〜あるよね?」と言って共感させないのがネタなのかと深読みしてしまいました。それでも一つ一つのネタはさらっと軽い「これぞ短文」といったネタで読後感はさわやか。しかしさらっと読めてしまう分インパクトも薄いので、RNRCの中で印象に残ったテキストをあげてくださいと言われてもこのテキストはあまりあげられないだろうなと感じました。


( 匿名希望 )・・・・17点

猫との新婚生活はいい意味で思わず苦笑。ただ一人称が私なだけに、いちいち「新妻猫」という表記があっても、なんていうかどちらも女性のイメージが湧いてしまい、途中で「あ、あれ?」となった感は否めません。しかしそれでも題材にインパクトがあり、展開も無理なく自然(とはいっても異色)に流れていき、オチがスパッと決まったので非常にいいテキストだと感じました。短くてもこれだけのレベルが書けるのは、素直にすごい。


お前ら帰れ・・・・14点

登場人物が多いという気持ちになるものの、一人一人の特徴がはっきりしているからその点はそれほど気にはならない。ただ、長いわりに内容が薄い。それと素直に面白いと思えたのは「なんたってRNRCだからな」というくだりだけで、あとはなにやらどこのサイトでも作れそうな、悪くはないけど良くもないダラダラとした展開。もう少しオリジナリティのあるテキストが欲しかったです。


こきち・・・・17点

18点つけてもよかったのですが、最後のメイドカフェが前の4つに比べて面白さがあまり感じられず、長ったらしい印象が残ってしまったので1点減点。それでもやはりこのスタイルは独特でインパクトも強烈。対話の面白さも他のサイトを超えるものがあり、まさに鬼に金棒といったところ。笑わせてもらいました。


Dio H・・・・18点

長くても除夜のテキスト祭でもなかなか見れなかった素晴らしい文章力に一気に引き込まれ、まるで買ったばかりの短編小説を読んでいるような気持ちになりました。別れた男に出会った瞬間の女性の戸惑いと悔恨の思いから、そこから展開される今付き合っている男と別れた男が対峙する状況における、彼女自身の複雑な感情の表現、別れた男にその場を助けられ感謝の気持ちがあらわれると同時に沸き起こる嫌悪感。どこをとってもため息が出るくらい、いい文章だったと思います。何かテキストという軽い表現を使うのが申し訳なくなるぐらいの優良テキストだったと思います。今後のテキストサイト界の活躍にも期待。


夜霧よ今宵も有難う・・・・16点(13点)

テキ通で言うところのキラーウイルスに侵された文章。なるほどそうして読んでみると面白いぐらい表現の仕方や文章の流れが酷似しています。形式の模倣は、以前の侍魂全盛期のようなセンタリング黒バックにフォント弄りというものがあり、これも非常に問題となりましたが、今は徐々に廃れつつあると言えるでしょう。しかしそれと入れ替わりに文体の模倣となるこれは黒バックよりかは顕著に現れないものの、やはり今後のテキストサイト界の問題となることには間違いはないです。そういった意味で是非もう一度自分らしい文章を追い求めて欲しいという気持ちを込めて()内の酷評にします。ただその文体の酷似という点を除いてみると、それほど面白くないテキストというわけではなく、むしろ最初のくだりからのオチまで長くてもクスクス笑いながら読めます。これもキラーウイルスの為せる技かもしれませんが、書き手にそれなりの力量があるのは認められるので、評価はできないこともないと感じました。よって個人的には高評価、客観的に見ると()内の点数といったところ。


天空飛行船・・・・17点

今までにない、ラブコメから一気にオトすホラーテイストのテキスト。予想していない展開だっただけに思わず背筋がゾッとしました。文章力にも長けていて、飽きがこない上に長くてもそれを感じさせない展開も自然でよく工夫されていると思います。特に欠点もなく、オリジナリティあるストーリーでインパクトも強いし、何より面白いと思えたので高評価とさせていただきます。


オズワールド・・・・16点

No.Lessの文章は秀逸。思わず感嘆の声を上げてしまいます。が、残念ながら前3つのネタは僕の読解力不足のためか、どこがどう面白いのか分からなくて、オチも一体何が言いたいのかさっぱり。小難しい表現を使って不思議な電波を放つこの文体は、かなり読み手を選ぶものであるという印象を受けました。それでも高評価なのは、やはりNo.Lessのテキストが非常によくできていたからで、これだけなら個人的には18点レベル。




「一日目を読み終えて」

評価の仕方は除夜のテキスト祭とまったく同じです。やはり厳選されたサイトばかりということもあり、素直に高評価とできるテキストがいくつもありました。特に「こきち」がやはりインパクトの面で他を圧倒し、「Dio H」でWeb上でもこんなにレベルの高い文章を読むことができるのかと感嘆しました。レビューしていてとても楽しかったです。2日目にも期待します。